サービスロボットの市場

ロボットビジネス

サービスロボット分野のビジネスチャンスは大きいといわれているが、実際どのぐらいあるだろうか?公開されている各種情報から、現状と将来予測を分析していく。

サービスロボットの分類の考え方については過去記事を参照ください。

サービスロボットとは(その2)
サービスロボットとは何であろうかを考える。 前回の記事ではJIS規格などを参考に定義してみた。 簡単に言うと、サービスロボットとは産業用ロボット以外の用途で使用されるロボットである。では、「産業用ロボット以外の用途」とは...

以下のグラフは、NEDOが2010年に公表したロボット将来市場予測をもとに作成した市場予測である。サービスロボットの市場(国内生産量)は、2020年には産業ロボットを逆転し、2035年には5兆円市場になる、という、素晴らしく夢のある推計である。ちなみに、国内市場が2.8兆円程度ある医療機器産業よりも規模が大きい。

イメージ的には、数千億程度の売り上げのサービスロボットメーカーが何社もいる状態。ハードウエア製造も必要であるため、産業のすそ野は広く、部品メーカ、サービス提供メーカ等が多く存在する一大産業分野に成長していることになる。

ほんまかいな?

サービスロボットで計上されている部分の内訳をみてみると、モビリティ(移動支援、物流等)、医療介護福祉系の伸びが大きく、次に、清掃や警備となっている。それらは、サービスロボットで代替、支援するサービスとしてはイメージしやすく、資料が公表された2010年時点で実際にメーカが少なからず製品を出している分野になっている。

2018年現在、2010年に出ていた製品がメジャーになってきたというイメージは残念ながらない。家庭内で万能お手伝いロボットが活躍していないのは仕方がないとして、病院やモール等工場以外の広い場所で、自律移動できる搬送台車、掃除、警備ロボが活躍しているのを見たことありますか?実証実験以外で。

ちなみに現在一番売れているサービスロボットはルンバである。それでもロボット掃除機の国内市場規模は200億円程度しかない。これからも5兆円がいかにサービスロボット産業にとって挑戦的な数字かがわかると思う。

また、推計には個人的には「?」がつくものまで計上されている。運転者が操縦するパーソナルモビリティ(Segway等)、ドローン、AIスピーカーをサービスロボットというのはなんだかなぁ。可動部(できれば関節)がある製品と、モビリティであれば操縦型は除いた推計にしてほしいなぁ。

ロボット掃除機のように、一つの産業として認められる(キャズム越えした)目安は市場規模が100億円程度といわれている。この状態まで来ると、先行メーカが改良された後継機種を次々出していき、他のメーカも追従して次々製品をだして、バッタもん(安物)も出てくる状態になっている。ちなみに、昔のアイボ(ペットロボ)はそれなりに売れたといえるが、30億程度であったため、ペットロボットとしては一つの産業とはならず、消えていった(最近再チャレンジしているがどうなるでしょうか?)。

5兆円と言われると途方もないが、あるサービス領域で100億の市場ならなんとかなりそうな気がする。例えば、人がいる一般環境下で作業可能な自律移動ロボット(モノを運んだり、掃除をしたり)を200万円で5千台/年の市場なら実現可能なイメージも出てくる。

次に簡単に世界市場も見てみる。(株)富士経済のレポートによると、2017年の市場実績が約1.8兆円、2025年の市場予測は約5.7兆円となっている。もちろんロボット掃除機、パーソナルモビリティ、AIスピーカも含まれているが、国内以上の数倍の市場というところであろう。ちなみに医療機器などは世界市場は国内市場の10倍程度である。

日本人は世界の中でもロボット好きだと言われているが、サービスロボットビジネスは国内だけでなく海外にもより大きなチャンスが広がっている。無駄なやり直しをなくすために、規格や法規等初めから海外市場を意識して開発することも重要である。

 

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