サービスロボットの課題に迫る(コスト)

2035年には5兆円産業になるといわれているサービスロボット。幾度もなくロボットブームが来て市場拡大が期待されてたが、ロボット開発に投資している企業の思うようには広がっていない。「5~10年以内には実用化」という言葉をよく聞いたり記事で目にすることはあったが、実証実験止まりでなかなか実際に販売された例は限られている。さらにそれなり売れた(数10億~)サービスロボットは数えるほどしかない。

サービスロボットの3つの課題

課題は結論を先に言えば以下の3つといえる

  1. うれしくない(技術的にできることが限られている)
  2. 値段が高い(コスト)
  3. 安全基準、法規などが整理されていない

1.うれしさ面はプロローグである程度述べたので、ここでは2.コスト面の課題を考える。数が出ないから値段が下がらないのは工業製品の宿命ともいえるが、高い部品も多い。例えば、それなりの運動性能が要求されるサービスロボットだと

  • アクチュエータ(超高性能小型モータ+ハーモニック減速機) → 100万円/1関節
  • 高性能な3Dセンサー(高精度、高い対外乱光) → 100万/1個
  • 6軸力センサ → 50万/1個
  • 高精度・高安定慣性センサー → 200万/1個
  • ・・・

3Dセンサや慣性センサは性能次第だが(~数万円)、それなりのロボットにはそれなりの値段(性能)のものがいる。また、数が出れば下がる部品もあるが、生産技術上、下がりにくい部品も多い。ざっとの目安であるが、ASIMOのような人サイズのヒューマノイドの場合、ざっくりした計算で

およその部品代 = 関節数(可動部の数)×200万+200万(センサ等)

ぐらいである。ヒューマノイドは40関節ぐらいなので、ズバリ1億円。昔ASIMOが研究機関向けにレンタルしていた時、確かレンタル料が3000万円/年であった。3年で部品代ぐらい回収するイメージだと大体1億円になるので、それほどおかしな計算ではないと思う。

Pepperはオフィシャルサイトを見てみると、まさかの本体19.8万円!これはドンガラだけの値段なので実際には、3年間で57.5万のソフト使用料や保険代が必要であるが、それでも約115万円!ASIMOに比べれば、圧倒的に可動部は少ないし(車輪だし)出力も低いと思うが、それにしても破格の値段である。モータは結構いいものを使っているので、噂によると、Pepperを買ってばらして部品を売ったら儲かるとか言われている。それぐらい安い。

Pepperが恐らく広めるためにコスト度外視して出してくれたので、それなりに世間でPepperを目にする機会も増えた。しかしPepperが爆発的?に広がっているわけでもなく、他社からも追従するようなロボットも出てこない。主に経済合理性によってコストを考えるBtoB分野でも500社ぐらいに限られているので、115万円では多くの方にとっては値段の割にあまりうれしくないのである。

前回の回転ずしの受付Pepperを思い返しても、タブレット置いておけばいいいじゃん、となる。受付系のサービスロボットの弱点はまさにここだと思う。タブレット+115万の投資をして、できることはタブレットとあまり変わらない。Pepperがいればアイキャッチにはなるけど、+115万の価値あるかということ。身振り手振りのために動かす可動部のために+αのコストは出せないと思う(少なくとも私は出さない)。

回転ずし屋の受付Pepperの話はこちら↓

2035年には5兆円産業になるといわれているサービスロボット。過去には幾度もなくサービスロボットのブームがありましたが、しばらくすると下火になり、市場が拡大したという感覚はありません。なぜでしょうか?孤軍奮闘するPepperの実例とともにサービスロボットビジネスの課題に迫っていきます

ソフトバンクのような大企業なら、広がって数が出るまでの高コスト分を背負うことができるので、戦略的な価格設定をしたと思う(少なくとも従来の感覚からはPepperは激安である)。しかしそれでもあまり広がらないということは、現在のPepperの能力では、市場は価値の割には高いと判断したことになる。

じゃあ、価格に見合ううれしさがあれば何でもいいのか?となるとそれも違う。サービスロボットのような新しい製品は社会受容性という大きな課題がある。これは3.安全・法規に深く関係する。ここは特に奥が深いので別の機会でじっくり考えていく。

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