WRS(ロボット)サミットに行ってきました。サービスロボット関連の展示とサービスロボットチャレンジを中心にレポートします。
家庭内万能お手伝いロボットの展示はなかったので(当たり前か)、定義的にはサービスロボットではないが、思想的には一番近いオムロンの移動マニピュレータ。下の写真のように作業ワゴンぐらいの自律移動台車の上に汎用マニピュレータがついている構造で、デモでは部品棚から必要な部品をマニピュレータで取り出し、移動台車に積んでいた。
部品の位置をどのように認識しているかだが、棚のマーカーとハンドカメラ?。移動マニピュレータは土台となる自律移動台車の位置精度がそれほど高くないため、停止した位置と部品との相対位置から把持のためのプランニングを行う必要がある。土台が固定されている一般的なマニピュレータより失敗する可能性が高くなるが、デモを見ている限り失敗はしていなかった。
色々な部品をロボットが間違いなく必要な分だけ自動的に集めて来てくれるので、後工程の組み立て工程が人間なら必要な部品がそろっている状態が用意されているのはありがたい。部品の組み付け漏れとか、似て違う部品を組み間違う心配がないから。
しかし、この状態では通い箱に複数の部品が混載されているので、組み立て工程がロボットの場合、通い箱から色々な種類の必要な部品を取り出していくことが難しい。組み付け工程がロボットなら、部品はロボットがハンドリングしやすいように、人間が気を利かさて配置しなければならない。両方の工程をロボットにやらすのは難しい。
写真の左に映っているのは自律移動台車(マニピュレータなし)、いわゆる磁気マーカーレスAGV。通い箱に積まれた部品を必要な作業場所まで運んでいく。デモではラインのコンベアに合体し通い箱をアンロードしていた。単純なハンドリング動作なら、マニピュレータを使わなくても、ちょっとしたからくりで事が足りるのだ。
SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)による自律移動台車は、磁気マーカーが必要な一般的なAGVより経路変更のために磁気マーカを張り替える必要はない、新しい経路を教えればいいだけ。ただここにまさかの落とし穴がある。
AGVの動く経路を作業者がわかるようにする、という安全ルールがある工場は多く、経路変更時の磁気マーカーの割り替えは必要ないが、ロボットの経路を示すためのテープの張り替えが必要になるというオチである。なら、SLAMなど使わなくても、そのテープを用いたラインとレースで事足りるということになる。
自律移動搬送台車はいろいろなメーカが出展していた。SLAM技術はある程度の限定された環境化では実用レベルにあるので、いいところにハマれば省人化に貢献してくれるのは間違いない。ただマニピュレータ付きとなると工場においてもなかなか活躍する場面がないのが現状である。
工場内でも活躍できないなら、一般家庭に移動マニピュレータが使われることはさらに難しい・・・
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