今回は社会的受容性の一つの要素であるリスクベネフィットについて考える。社会的受容性については以下の記事参照ください。
リスクベネフィットのわかりやすい例は薬である。薬には効果効能(ベネフィット)がある一方で副作用も(必ず)ある。例えば、この薬を飲めばインフルエンザがすぐに治ります、でも下痢します、飲みますか?
リスクとベネフィットを被る人が、それらを天秤にかけて受容する(受け入れる)か否か決めるわけで、それはその人の価値観に依存する。
極端な例を言うと、あなたこのままでは間違いなく死にます。でもこの手術を受けると助かる可能性があります。成功率は5割です。受けますか?
飛行機。たまに堕ちます。けど海外まで半日で行けます。飛行機怖いので船で行きます、でも1か月かかります。どっちで行きますか?おそらくほとんどの人が飛行機を選択するでしょう。飛行機に乗っている人は、たまに墜落するリスク(酷さ×確率)を受容して、目的地に早く着くというベネフィットを得ているわけである。
当然のごとく、リスクは低くなくてはならないし、ベネフィット/リスクも十分に大きくなければならない。薬の場合は、リスクがそれなり大きくても受容されるが、飛行機の場合はそういうわけにはいかない。もし飛行機が100フライトに一度堕ちるような代物であったら、皆さん乗らないでしょう。宇宙飛行士はそれぐらいのリスクをしょっていると思いますが。
サービスロボットの場合どうだろう。まずはベネフィット(うれしさ)が十分高くないと話にならないし、リスクも十分に小さくする必要がある。リスクを下げようとすると、基本的に速度や力を落とすことなるので、そうすると遅くて使えないロボットになってしまう。
産業用ロボットは人とロボットを隔離することで、役に立つ速度と力を出している。しかしながら、人のそばで動くことがあるサービスロボットは隔離という安全策をとれない。ここが難しい。リスクを下げればうれしさが減る、うれしさを上げればリスクが上がってしまう。
隔離以外にもう一つ産業用ロボットとの違いがある。それはロボットの周りにいる人々の種類である。産ロボは訓練されたオペレータが操作する。触らないというルールがあれば触らない。しかし、サービスロボットの周りには分別ついた大人だけではなく、子供もいるし、老人もいる。子供なんて触るなといっても触るし。
サービスロボットはいろいろ難しい・・・
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