2018年10月12日に第8回ロボット大賞が発表されました。バックアップしている各省庁等(経済産業省(幹事)、一般社団法人日本機械工業連合会(幹事)、総務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、国土交通省)からそれぞれ大賞が発表されました。今年の受賞の内、ロボビズで注目したロボット(サービスロボットに関係しそうなもの)を以下にまとめます。
- 文部科学大臣賞:耐切創性式の柔剛切替グリッパ機構 「Omni-Gripper」 @東北大
ジャミング転移の技術を用いたハンド機構。簡単に言うとドラえもんハンドです。把持対象物に合わせてハンド形状が自然に変形しながらグリップするため、いろいろな形状のものがつかめます。 - 厚生労働大臣賞:ウェルウォーク WW-1000 @トヨタ/藤田医科大学
脳卒中などによる下肢麻痺者を対象とする、リハビリテーション支援”ロボット”。技術的には新しくはないが、リハビリ現場に実際に多く導入されている面が評価された。導入台数は60台程度。これはロボットですかね・・・?医療機器の承認も取られているので、医療機器かな。 - 日本機械工業連合会会長賞:自動搬送ロボット導入による料亭の接客サービスの効率化 @がんこフードサービス株式会社
某有名料亭で使用されている、料理を配膳場から客席前まで運搬する搬送ロボット。単なるAGVです。これも従業員・顧客・ロボットが同じサービス空間で共存するモデルを示したという社会実装の面が評価された。 - 優秀賞(サービス分野):パワードウェア ATOUN MODEL Y @株式会社ATOUN
いわゆる現場での重量物の上げ下ろしをサポートする腰アシストウェアラブルロボット。中小企業でも導入できるコスパの良さが評価された(数十万円?)。導入台数は100台程度。
文科省を除いて、現実的に使われていることが評価されているようです。ただ使われている”ロボット”はロボットって言っていいのか分からないようなシンプルなものばかり。この辺りがサービスロボットビジネスの難しさがあります。結局、現状の技術レベル、コストではそれほど複雑な作業が出来ないので、あればいいけどなくてもそれほど困らないという程度のうれしさしか提案できていない。
出荷台数も年100台出れば御の字というところでしょうか。逆に言えば年100台程度で成立させられるようなビジネスモデルが描ければ、年数億レベルのビジネスは可能となります。
ちなみに過去の受賞ロボットとそれなりに有名どころとしては以下のものがあります。
- Pepper @第7回
- HAL医療用下肢タイプ @第7回
- フレキシブルな自動組立ラインを実現するヒト型ロボット「NEXTAGE」 @第5回
- 無軌道自律走行ロボット「血液検体搬送ロボットシステム」(HOSPi) @第3回
- アザラシ型メンタルコミットロボット「パロ」 @第1回
- ロボットによるビルの清掃システム @第1回
サービスロボットとしては、自動搬送ロボット(+αの機能)かコミュニケーション系しかないです。家庭内万能お手伝いロボットの受賞はいつになることやら。
ちなみにロボット大賞の目的として公式ページでは以下のように記されています。
将来の市場創出への貢献度や期待度が高いと考えられるロボット及びロボット応用システム並びにロボットに関連するビジネス・社会実装、要素技術、研究開発及び人材育成(以下、「ロボット等」という。)を表彰することにより、ロボット技術の開発と事業化を促進し、技術革新と用途拡大を加速する、社会に役立つロボットに対する国民の認知度を高め、ロボットの需要を喚起するとともに、全国から広く募ることで我が国のロボット技術の動向を把握することを目的とします。
需要の喚起に期待しています。WRS(ロボットサミット)で表彰式があります。
コメント